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新型コロナウイルスには口腔ケアが重要

2020.04.14 トピックス

拡大する新型コロナウイルス感染を予防するには、手洗い、マスクだけではなく、「歯磨き」も重要だ。歯周病がウイルス感染を起こしやすくする可能性がある。
歯周病は、口の中の歯周病菌に感染することで発症する。
われわれの口腔内には400種類近い細菌が存在していて、その数は100億を超えるといわれている。そのうち、プロフィロモナス・ジンジバリス(P・g菌)、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(A・a菌)、プレボテーラ・インテルメディア(P・i菌)など数十種類の細菌が歯周病の原因菌として知られている。
こうした歯周病菌が歯と歯肉の隙間(歯周ポケット)に蓄積して増殖すると、歯肉が炎症を起こして腫れたり、出血しやすくなる。さらに進行すると歯周ポケットが深くなり、歯を支えている歯槽骨が溶けて歯がぐらつき、最後は抜け落ちてしまう。
歯周病によって問題が起こるのは歯だけではない。近年、糖尿病、誤嚥性肺炎などの呼吸器疾患、心臓疾患、認知症といった多くの全身疾患との関連が指摘されていて、インフルエンザなどのウイルス性疾患にもかかりやすくなる。

■口の中は受容体が多い
「われわれの口腔内ではウイルスレセプターと呼ばれるウイルスが吸着する受容体がいくつも発現します。口腔内に入ったウイルスは、そのレセプターを介して細胞内に侵入し、増殖していくのです。通常、喉など口腔内のレセプターはタンパク質からできている粘膜で保護されています。しかし、歯周病菌はプロテアーゼというタンパク質を加水分解する酵素を産生し、保護している粘膜を破壊してしまいます。その結果、口腔内のウイルスレセプターが露出して、感染しやすくなってしまうのです」
新型コロナウイルスは「ACE2受容体」というレセプターにくっついて細胞内に侵入する。ACE2受容体は上気道での発現は比較的少ないといわれているが、海外では「ACE2受容体は口腔内の粘膜、とりわけ舌に多く発現している」との論文報告があり、味覚障害を引き起こすのはその為なのかもしれない。歯周病菌がつくり出すプロテアーゼが、新型コロナウイルスの細胞内侵入をサポートする可能性があるのだ。
また、歯周病によって起こる「炎症」がウイルス感染を助長するともいわれている。
 歯周病菌は内毒素を放出するため、歯肉などの歯周組織や粘膜に慢性的な炎症を引き起こします。炎症によって歯肉の血管が傷つくため、口腔内の細菌やウイルスが体内に侵入しやすくなる。
また、新型コロナウイルスが吸着するACE2受容体は、炎症が広がるほど多く発現するといわれている。
ACE2受容体はそもそも炎症が起こった際に細胞を保護する働きがあるため、炎症があると増えるのだ。
歯周病と新型コロナウイルスの関連性は現時点ではまだはっきりしていないが、可能性の芽は摘んでおいた方がいい。
 歯周病の予防や悪化を食い止めるためには、原因となる歯垢をしっかり取り除き、口の中の歯周病菌を減らすのが何より大切です。そのためには、最低でも朝晩は正しくブラッシングして、口腔内を清潔な状態に保つことです。また、普段の生活の中でストレスをため込まないことも大事です。口腔内環境の改善につながりますし、何よりウイルスから身を守ることにもつながるからです。

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