今までの歯科治療は、解剖学的な知識と長年の経験などを生かした、いわゆる匠の世界でありました。
歯科治療の成功は、知的に優れることが70%、手技的に優れることが30%といわれています。
いかに手先が器用な先生でも、論文を読み研究をし、経験に裏打ちされたリサーチがしっかりなされていなければ成功しないのです。逆に、知的に優れていても器用でなければ、根管治療やインプラント治療は成功しません。
知的に優れるとは、最新の論文や治療法、薬剤や機材に精通することであります。
その中で最も重要なのは、マイクロスコープや歯科用CTなどの最新機材に精通することであります。

人間は目で認識することができれば、どんなに細かい作業でもできます。医療の現場では当たり前のようにマイクロスコープが使われています。たとえば人工授精などはミクロの世界を、人間が手作業で行っています。 歯科治療でも肉眼では、治療の精度に限界があります。マイクロを使うことにより、卓越した解像力で、肉眼では見えない術野の細部まで鮮明に拡大描写します。そのため診療部位の見落としや取り残しがなくなり、生体への侵襲を最小限に抑えた精度の高い歯科診療が行えます。
CTに関しては、今まで見えなかった歯の内部や骨の内部まで、正確に見ることが出来るようになりました。そのことにより、神経や血管を損傷させたりする医療事故を未然に防ぐことができ、より安全で的確に治療を行うことが可能になりました。
たとえば、インプラント治療の場合、「神経との正確な位置関係」、「上顎洞までの正確な距離」、「骨幅や骨密度」など、さまざまな情報が得られ、インプラントの長さや直径を指定すれば埋入方向や深さなどをあらゆる角度から審査・診断し、シュミレーションすることが可能になりました。
また、歯科用CTは当然デジタルですから、コンピュータを使って映像を解析しますので、従来のアナログエックス線の8〜10分の一程度の被爆量で済みます。